クラウドファンディングの「READYFOR」 | グロービス・キャピタル・パートナーズなどから総額10億円の資金調達
READYFOR株式会社は、第三者割当増資によりシリーズBラウンド約10億円の資金調達を実施したと発表した。引受先となったのは、グロービス・キャピタル・パートナーズ、セールスフォースベンチャーズ、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、南都キャピタルパートナーズ、ベンチャーラボインベストメント、あおぞら企業投資株式会社だ。
READYFOR、10年間の歩み
READYFORは国内初のクラウドファンディングサービスとして、既存の金融サービス・資本主義ではお金が流れにくい分野、主にNPOや医療機関、研究分野、地域活性化などに資金調達の手段を展開し、約2万件のプロジェクトに対して約200億円のお金を流してきたという(2021年3月29日時点)。特に直近では、「より多くの想いとお金をマッチング」すべく、30社を超える企業と連携、オンライン従業員寄付やポイント寄付で5億円以上の支援金を受付け、社会全体で実行者を支える支援のネットワークを構築している。
新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には、公益財団法人東京コミュニティー財団と連携し「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金(以下、コロナ基金)」を運営、これまで得てきたファンドレイジング・審査・資金分配の知見を活かし、「資金が必要な現場」に対し、最短14日とスピーディにお金を届けてきた。その結果、国内クラウドファンディング史上最高額となる約8.7億円もの寄付金を集め(※)、165件の医療機関・エッセンシャルワーカーらの活動に助成を行うことができたという。
※READYFOR株式会社調べ・国内で運営している購入型・寄付型クラウドファンディングサービスの実績より
サービス開始から10年目で描くのは「寄付市場のデジタル化」
近年では、資本主義が生み出した課題が顕在化し、社会課題解決を行う「ソーシャルセクター」への期待感が高まっている。企業においてもSDGsやESG投資など、社会の持続可能性が強く問われる時代になった。また、新型コロナウイルス感染拡大を契機に、日本のデジタル化の遅れが露呈、誰ひとり取り残さないデジタル社会を早急に実現することが求められている。
同社では、これまでクラウドファンディングサービス・基金運営で培ったノウハウとテクノロジーを活用し「寄付市場のデジタル化」を推進、今後進んでいく官民連携を牽引することで「社会を持続可能にする新たな資金流通の仕組み」を実現していく考えだという。
今後は各ステークホルダーに対して、以下のような取り組みを実施予定だ。
(1)実行者へ:継続的に活動を続けるための資金獲得の基盤へ
・クラウドファンディングでの資金調達をよりスムーズで負担なく実施できる機能の開発
・継続的に資金を集められる機能の開発
・様々な機関から多様なお金を受け取れる機会を提供
(2)支援者へ:想いを適切に届ける支援体験の強化
・企業:企業の理念・SDGs方針に合う活動や、従業員・顧客が望む未来を作る活動とのマッチングの強化
・自治体、財団:資金を必要としている活動と適切にマッチングを行う
投資家からのコメント
■JICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長CEO 鑓水英樹氏
『READYFOR社が提供するサービスは、ソーシャルファンディング領域の生産性向上や寄付文化の発展など我が国の資金流通における新たなエコシステムの構築に貢献するものです。弊社はこのようなベンチャー企業への支援を通じ、日本の幅広い産業へのリスクマネーの呼び水効果となることを目指しています。』
■三菱UFJイノベーション・パートナーズ 鈴木伸武氏
『READYFORのMissionである「想いの乗ったお金の流れをつくる」ことに共感し、金融機関として全力でサポートさせていただきたいと考え、投資の意思決定を致しました。三菱UFJイノベーション・パートナーズは、MUFGグループのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)として、MUFGグループ各社とともに、READYFORと様々な協働プロジェクトを、今後実現させていきます。
足元では、三菱UFJ銀行から行員を出向派遣して事業成長をサポートするとともに、ノウハウを学ばせていただいております。READYFORが成長することで、世の中に大きなインパクトが生まれるものと確信しております。』
■南都キャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役社長 堺 敦行氏
「私どもは、国内有数の歴史的文化資源の集積エリアである奈良県を中心に展開する南都銀行のグループ会社です。古くから神社仏閣の造営や修復は寄付により支えられてきた歴史があり、READYFOR社が推し進めるクラウドファンディングは、私どもの地域においてはまさに古くて新しい資金集めの方法だと言えます。
そのため、『想いの乗ったお金の流れを増やす』というREADYFOR社のミッションとその遂行に向けた同社の皆さまの強い想いに共感し、南都銀行グループとしても全力で貢献すべく、今回の出資の機会を頂きました。
すでに国宝を所蔵する聖林寺さんにサービスをご紹介し、目標金額を上回る資金の調達に成功するなど、地域の資源を未来に繋ぐ取り組みは始まっております。4月からは南都銀行員の派遣も行い、より強い関係性で歴史的文化資源に限らず芸術・医療・子供・飲食店・観光施設など、地域で資金を必要とする方への支援をともに加速させ、地域活性化に努めて参ります。」
※関連リンク:プレスリリース