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世界で加熱するフードテックの波に乗れるか?日本のAI×外食産業の共創事例

世界で加熱するフードテックの波に乗れるか?日本のAI×外食産業の共創事例

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多くのビジネスパーソンが注目するAIビジネスですが、AIには多用に細分化された用途があります。ですから「どの領域のAI活用がアツいか?」に注目するのが正しいビジネス洞察眼と言えるでしょう。TOMORUBAの連載「Break Down AI」では、期待される【AI×○○】の実態に迫り、どのような共創が行われているかに迫ります。

今回は、一見AIとは縁遠そうな外食産業に目を向けます。外食産業は食事を作って提供する以外にも周辺業務は大量にあります。それだけでなく、巨大産業ゆえにデータ化できればAI活用できるファクターも数多くあります。

先端を行く外食企業とテック企業が、外食産業にどのようなAI旋風を巻き起こそうとしているのか、共創事例を紹介していきます。

活発化するフードテックへの投資は年間2兆円に

食市場の中でも、特に盛り上がりを見せているのが技術で食の課題を解決する「フードテック」です。AIの活用ももちろんここに分類されます。農林水産省フードテック研究会が今年7月に取りまとめた資料によると、世界のフードテックへの投資は年々活発化しており、2018年〜2019年は2兆円を超えています。

投資額を国別にみてみると、投資額のおよそ半分を米国が占めています。対して日本は米国の100分の1ほどの規模の投資に止まっているのが現状です。同資料でも、日本のフードテックにおいても社会実装のゴールを明確化してフードテック推進に舵をきる動きがあります。


出典:農林水産省フードテック研究会 中間とりまとめ

他の産業でも見られる傾向ですが、海外で投資が活発化している分野で日本が遅れをとっている場合、日本も海外のトレンドに追従する可能性が高いです。フードテックは日本ではまだ黎明期ですが、今後急成長を遂げる期待が持てる分野と言えるでしょう。

AI×外食産業の共創事例

ここからはAIを活用した外食産業の共創事例を見ていきます。

【New Innovations×三菱地所】AIカフェロボットを利用した丸ビルでの実証実験

AIカフェロボット 「root C(ルートシー)」を開発するNew Innovationsは2020年3月から、三菱地所の協力のもと、需要予測AI搭載無人カフェロボットを東京・丸の内エリアの新東京ビルに設置し、実証実験を開始しています。

具体的には、オフィスビルにおけるオフィスワーカーを中心とした消費行動のデータ取得とユーザー体験の検証を目的とし、新東京ビルでの実証実験を行います。今回、ハードウェア面でも大幅なアップデートを行い最大同時受け取り可能人数が20名となっています。

今回の実証実験での消費行動を踏まえ、将来的にはシングルオリジンの豆をリアルタイムで個人の嗜好や気分に合わせたブレンドを行うなど、さらなるユーザー体験の向上に努めて行くとのことです。

関連記事:AIカフェロボットを開発するNew Innovations、三菱地所との実証実験を東京丸の内・新東京ビルにて開始

【TechMagic×JAFCO】AI調理ロボットの開発を加速する資金調達

TechMagicは2019年10月、独立系ベンチャーキャピタルJAFCOから、シードラウンドで出資を受けています。同社が開発するAI調理ロボットを活用したソリューションの特徴は以下の三点です。

1.業務軽減でなく、スタッフ一人単位で省人化可能

2.既存の店舗 / 工場オペレーションと親和性の高い、コンパクト且つ高効率なロボット

3.ロボットの企画、設計、製造、販売を行い、幅広い調理方法・プロセスに対応

事業は大きく二つに分けられており、店舗のキッチン省人化を目指す「調理ロボット事業」と、セントラルキッチンの作業を省人化する「業務自動化AIロボット事業」があります。

この調達を通じ、コア技術開発と開発環境を充実させ、最先端技術を利活用した調理ロボットと業務自動化ソリューションによる外食産業の革新と社会課題の解決を目指すとのことです。

関連記事:AI調理ロボットのTechMagic、JAFCOから資金調達を実施。外食産業の革新と社会課題の解決を目指す

【吉野家×Idein】AIオープンイノベーションプログラム「牛丼テック」の募集を開始

牛丼チェーン大手の吉野家とAI/IoT開発スタートアップのIdein(イデイン)は2020年11月より、新しい吉野家の形を共創するためのオープンイノベーションプログラム「牛丼テック」を共同開催し、共創パートナーを募集しています。

現在、吉野家とIdeinは、吉野家店舗の顧客満足度向上及びサービス品質改善を実現するための店舗センシングプロジェクトで協働しているとのこと。

Ideinが開発するIoTプラットフォーム「Actcast」は、エッジデバイス上で画像解析AIなどを実⾏して実世界の情報を取得し、Webと連携するIoTシステムを構築・運⽤する為のプラットフォームサービス。

同プログラムではこの「Actcast」を活用し、応募された共創アイデアやソリューションと組み合わせることによって、店舗センシングプロジェクトが掲げる取組を加速させることを目的としています。

関連ページ:吉野家×IdeinがAIオープンイノベーションプログラム「牛丼テック」の募集を開始!

【すし銚子丸×アルファクス・フード・システム】自律歩行型AI配膳ロボットを試験導入

大手回転寿司の「すし銚子丸」を運営する銚子丸は2020年9月より、「自律歩行型完全AI配膳ロボット」を「すし銚子丸雅 習志野店」に試験的に導入しました。今回導入したのは、飲食業界向けITシステムサービスを提供するアルファクス・フード・システムが今年3月に発表した、外食産業向けAI配膳ロボット「サービスショット」です。

「サービスショット」は、非接触で料理クローズ型&自律歩行型の配膳ロボットとなっており、withコロナを見据えて衛生面などを強化しているとのこと。

配膳ロボットは一般的に、店舗の天井に埋め込まれた誘導センサーと連動して稼働するが、サービスショットは自立歩行型で天井センサーを必要としません。店舗の省人化だけでなく、導入時のコスト削減も特徴となっています。

今後は実証実験で得たデータをもとに、導入店舗の拡大を検討していくとのことです。

関連ページ:グルメ回転寿司「すし銚子丸」が自律歩行型AI配膳ロボットを試験導入

【編集後記】まずは大手からAI導入の流れか

自然な流れではありますが、事例を見るに、まずは大手が自ら共創によるソリューションを生み出して、店舗で導入するのがトレンドになりそうです。AIの特性から言っても、データが多いほど精度の高いモデルを構築できるわけですから当然と言えば当然です。

大手店舗が実績を積み重ねて、汎用的に利用できるAIが作られるようになったら、中小の店舗でもAI導入が始まってパラダイムシフトが起きるのではないでしょうか。

TOMORUBA編集部

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