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遊休資産×シェアリングエコノミーの未来を切り拓くOIプロジェクト

遊休資産×シェアリングエコノミーの未来を切り拓くOIプロジェクト

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私たちが暮らしている中で、シェアリングエコノミーが急速に拡大しているのを実感する機会が増えてきました。例えば、都心部ではサイクルシェアサービスの自転車に乗っている人を見かけるのは日常茶飯事になりましたし、車を所有しない人にとってカーシェアは有力な選択肢になっています。

一方で、遊休資産の活用にも注目が集まっています。適切に運用すれば価値のある資産が放置されてしまっているのはもったいない事です。

実はこの「シェアエコ」と「遊休資産」はとても相性が良く、さらに共創でブーストしやすい性質も相まって、優良な共創事例が増えているのです。

今回の「未来を切り拓くOIプロジェクト」では、遊休資産×シェアエコの事例に迫ります。

シェアリングエコノミーの市場規模は6年間で倍増

シェアリングエコノミーとは、おもに、場所・乗り物・モノ・人・スキル・お金を、プラットフォームを介して個人間でシェアする事を指しています。冒頭に話題に出したシェアサイクルやカーシェアは「乗り物」のシェアになるわけです。

シェアリングエコノミー市場はまさに急成長期の真っ只中で、2020年3月に発表された矢野経済研究所の調査では、2017年の市場規模は約766億円だったのに対し、2023年には約1691億円になると予測されています。6年間で倍以上という成長速度です。


出典:矢野経済研究所

次に遊休資産の現状です。そもそも遊休資産とは、「事業使用の目的で取得したものの、稼働を停止している資産」を指す言葉です。最近では稼働していない動産も不動産も含めて「遊休資産」と呼称される事が多くなっています。

現在では、遊休資産が激増している状況が社会問題となっており、空き家を例にすると、2018年の総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%で空き家数は1000万に迫る勢いです。

もちろん、遊休資産の問題は空き家だけでなくあらゆる資産で起こりうる可能性があります。

参考ページ:シェアリングエコノミー(共有経済)サービス市場に関する調査を実施(2019年) | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

参考ページ:平成 30 年住宅・土地統計調査 結果の概要 総務省統計局

遊休資産×シェアリングエコノミーの共創事例

このような背景を踏まえた上で、実際に行われている遊休資産を活かしたシェアリングエコノミーの共創事例を見ていきましょう。


【キャスター×アドレス】 リモートワーカーの就業環境と居住場所づくりを支援

700名以上のメンバーがリモートワークするキャスターと、月額制で全国の家に自由に住める多拠点ライフプラットフォームを展開するアドレスは2020年3月、協業を開始すると発表しました。これにより、リモートワーカーの就業環境と居住場所づくりを支援する取り組みをスタートします。

アドレスは働く場所としても居住場所としても利用できる、多拠点コリビングサービス「ADDress」を展開していて、拠点の多くは空き家を再利用して作られています。また、キャスターは同社に登録するリモートワーカーの「新しいワークスタイルを取り入れたい」、「住む場所を自由に選びたい」というニーズに応える取り組みを推進してきました。

今回の協業によって、①キャスターのメンバーにADDressの会員権を特別価格で提供することと、②全国各地にできるADDressの新しい家の家守(ADDressのコミュニティマネージャー)になるキャスターメンバーを募集します。

アドレスはこうした取り組みを通じて遊休資産の活用だけでなく、地方の関係人口増加や地域活性化へとつなげ、次世代の地方創生を推進することを目指しているとのことです。

関連記事:【キャスター×アドレス】 協業により、リモートワーカーの就業環境と居住場所づくりを支援

【東京メトロ×スペースマーケット】東京メトロの保有スペースを時間貸しで有効利用

東京地下鉄(東京メトロ)とスペースマーケットは2019年4月に、資本業務提携したことを発表しました。

スペースマーケットは、イベントスペースや会議室などあらゆるスペースを1時間単位で簡単に貸し借りできるプラットフォームを運営し遊休資産の有効活用を促進しています。一方、東京メトロはオープンイノベーションの推進の一つとして、「“つながり”の創出を通じ、持続可能な地域社会形成に貢献する」というテーマを掲げ、外部連携による新たな価値の創造を進めているため、出資に至りました。

今回の提携により、東京メトロの保有する物件やスペースを「時間貸し」でシェアリングできるようになります。また、沿線地域と連携してにぎわいを創出し、東京の魅力・活力の共創を進めていくとのことです。

関連記事:東京メトロがスタートアップに初出資、スペースマーケットと協業しシェアリングスペースをオープン

【JR東日本×VILLAGE】無人駅の活用による地域活性化の取り組み強化に向け資本業務提携

JR東日本のCVCであるJR東日本スタートアップと、地域資産を活用した新たなローカルビジネスを手がけるVILLAGE INC.は2020年7月、JR東日本グループの持つ遊休資産を活用した新たなツーリズム開発とワークスタイルの創出の実現に向け、資本業務提携することに合意しました。

両社は今年の2月から3月にかけて合同で、上越線土合駅を活用した地域活性化実証実験「無人駅グランピング」を実施し、利用者から高い評価を得ています。このことから、無人駅の活用に高いニーズがあることを確認できたため、本格的な事業化に向け資本業務提携に至りました。

今後はこの連携を通じて、無人駅などの遊休資産を活用した新たなツーリズム開発とワークスタイルの創出に向けたサービスを生み出していく予定とのことです。

関連記事:JR東日本スタートアップ×VILLAGE INC.| 無人駅の活用による地域活性化の取り組み強化に向け資本業務提携

【akippa×SOMPO】駐車場の有効活用促進と保険商品の共同開発

遊休資産を活用した駐車場予約アプリ「akippa(アキッパ)」を運営するakippaは2019年10月、SOMPOホールディングス、および損害保険ジャパン日本興亜株式会社と資本業務提携したことを発表した。両社は、「シェアリングは、安心の時代へ。」をテーマに、共同で駐車場シェアリングの推進を目指します。

具体的には①損害保険ジャパン日本興亜の代理店網を活用したakippa駐車場開拓、②共同での保険商品の開発を行います。

akippaはこのほかにも数多くの共創を実現しており、プロスポーツチームと提携しスタジアム周辺の駐車場を整備したり、さくらインターネットと共同で衛星AIを利用した駐車場スペースの開拓などを推進しています。

関連記事:「シェアリングは、安心の時代へ。」 駐車場シェアリングのakippa、SOMPOと資本業務提携、累計調達額は約35億円に

関連記事:【akippa×広島ドラゴンフライズ】 「予約制駐車場」を増やすことで、広島サンプラザホールまでの車移動を快適に

関連記事:さくらインターネット×Ridge-i×akippa | 衛星データとAI画像認証を活用した駐車場用スペースの自動検出プログラムを共同研究開発

【ノンピ】遊休資産の社員食堂を収益化する「ランチケータリング」

ノンピは2019年12月、池森ベンチャーサポート等を引受先とする総額約2億円の第三者割当増資により、資金調達を実施しました。ノンピはこの資金調達により、社員食堂のアイドルタイム等の遊休資産を活用して調理した食事を、周辺企業に届ける「ランチケータリング」サービスを開始しています。

社員食堂はランチだけでは採算が取れず企業側が社食運営事業者に運営補填金を支払うことが多い状況で、運営補填金の関係で運営事業者が見つからず、閉鎖状態のままになっている社員食堂も存在するなど、遊休資産となってしまっているケースがあります。

そのような状況を受けて開発されたのが、社員食堂の遊休資産を活用して収益化する「ランチケータリング」です。

ノンピは、遊休資産となっている社員食堂を運営補填金なしで運営受託し、そのアイドルタイム等を利用し、周辺企業にランチやパーティーのケータリングサービスを提供しています。同ビジネスモデルで運営する社員食堂は、通常のランチ売上の約5倍~10倍の売上を作り黒字化されているとのことです。

関連記事:遊休資産の社員食堂をシェアリングエコノミーで収益化する「ランチケータリング」を開始したノンピ、約2億円の資金調達

【編集後記】遊休資産活用の可能性は広い

上記に紹介した事例はあくまでも遊休資産活用の一部でしかありません。前述したように空き家だけでも約1000万戸あり、さらにその数は増えていますから、全ての遊休資産をアクティブにするためにはかなりの努力が必要になる事は想像に難くありません。

日本の高齢化、人口減少の傾向はしばらく変わらないでしょうから、どんどん新しいタイプの遊休資産が登場してくるでしょう。資産の運営が停止されてしまうわけなので、経済的にはピンチでもありますが、遊休資産×シェアエコに新規参入する事業者にとってはビジネスチャンスの宝庫です。使われていない身近な資産があったら、そこにビジネスアイデアが埋もれているかもしれません。

TOMORUBA編集部

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