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次世代IoTセキュリティソリューションの新時代を切り拓く――オプテージが共創の先に見つめる景色とは?

次世代IoTセキュリティソリューションの新時代を切り拓く――オプテージが共創の先に見つめる景色とは?

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関西電力グループの一員として、個人向けに「eo」や「mineo」といった情報通信サービスを提供し、日本全国の企業に対してもDXを強力に支援する株式会社オプテージ。クラウドやIoTに代表される情報と通信が一体となったソリューションの開発と提供を推進している。

新たな取り組みに精力的に挑戦を続ける同社が現在注力しているのが、次世代のセキュリティソリューションの創出だ。8月25日には、イスラエルのIoTセキュリティ会社NanoLock Security社との業務提携を発表。監視カメラやルーターなど、インターネットとつながる様々な機器のファームウェアを不正な改ざん・消去から守り、セキュアに更新・管理が可能な次世代セキュリティソリューションの開発を進めている。その本格的なサービス化にあたり、オプテージは共創パートナーを募集することとなった。

今回、法人向けソリューション事業を管掌する 代表取締役 常務執行役員 橘俊郎氏と、法人向けソリューション開発担当の ソリューション企画部長 矢野宏明氏に、オプテージが描くビジョンと、NanoLock Security社との提携、次世代セキュリティの内容、共創パートナーに求めることなどについて伺った。


▲株式会社オプテージ ソリューション事業推進本部 本部長(代表取締役 常務執行役員) 橘 俊郎 氏


▲株式会社オプテージ ソリューション事業推進本部 ソリューション企画部長 矢野 宏明 氏

IoTセキュリティ領域は、これから大きな社会課題になる

――IoTセキュリティ分野に注力していくということですが、オプテージがそこに取り組む目的や背景を聞かせてください。

橘氏 : オプテージは、2019年4月に関西電力グループのケイ・オプティコムというインフラ会社と、関電システムソリューションズというSIerが統合して生まれた会社です。その結果、超上流のコンサルティング業務からシステム開発、さらには光ファイバー、インターネットサービスなど、上流から下流までワンストップで提供できる体制が整いました。それを当社では、”ONE STOP X SOLUTION(ワンストップ クロス ソリューション)”として事業を進めています。

今、IoTデバイスが急速に普及しています。スマートシティ化が進み、もはや「IoTデバイスの塊」と表現しても大げさではない世の中で、今後はセキュリティが大きな社会課題になっていくことが考えられます。現在のセキュリティは、パソコンのアンチウイルスソフトのように、アプリケーションで守っていくものが主流です。

しかしモノがインターネットに接続される時代においては、ハードウエア、特にフラッシュメモリからしっかりと守っていくことが必要となりますが、そうしたソリューションはまだ世の中に普及していません。その課題を解決し、利用者の安心・安全を確保すべく、オプテージはIoTセキュリティ分野への注力を決めました。


▲オプテージが手がける、情報と通信が一体となった「ONE STOP X SOLUTION」。

――IoTセキュリティに着目したきっかけは、社内から発生した課題感なのでしょうか。それとも、顧客からそうした要望が寄せられていたのでしょうか。

橘氏 : 社内からの課題感ですね。これまでも、IoTデバイスへの不正アクセスのニュースは報じられていましたが、まだお客様が広く脅威だと感じる状況にまでは至っていませんでした。社内でこれからの世の中の変化を検討する段階で、IoTセキュリティ領域がこれから大きな社会課題になるだろうということで、この分野を掘り下げていくことになりました。

また、統合して上流から下流まで立体的にサービスを提供できるようになったとはいえ、今の世の中、1社だけで何かができるとは考えていません。オープンイノベーションをはじめとした、他社との協業の中でサービスやソリューションを創り上げていくことが必要だと考えています。

オプテージには、コクラボという様々なステークホルダーと協働する事業開発グループがあります。私は以前コクラボを担当しており、スタートアップなどとのマッチングと新規事業創出に取り組んできました。IoTセキュリティ分野においても、オープンイノベーションで共に歩んでいける方々とお会いできる機会がないかと考えています。

イスラエルのITセキュリティ会社との提携で、独自のソリューションを開発

――8月25日には、イスラエルのITセキュリティ会社 NanoLock Security(以下NanoLock社)との共創を発表されていらっしゃいますね。

矢野氏 : 橘が申し上げたように、セキュリティといっても従来のようにOS上に取り入れて色々な検知を行うようなサービスに、今から参入する意義はあまりないでしょう。オプテージが新たに手掛けていくのなら、その先の次世代セキュリティソリューションを考える必要があります。

そこで我々は次世代セキュリティソリューションの核となる技術を探索していたところ、イスラエルのNanoLock社がフラッシュメモリを不正な改ざんや消去から保護する特殊技術を持っていることを知りました。この技術があれば、まさに次世代にふさわしいハードウエアのセキュリティサービスを展開することができます。

また、NanoLock社は複数の特許を保有しており、世界の大手メモリメーカーとの提携の実績もありました。当社としても、NanoLock社が持つ技術を社会に役立つソリューションとして世の中に提供していきたいと考え、提携が成立しました。

――国内外でITセキュリティ会社は無数にありますが、はじめから海外の会社と組むことを決めていらっしゃったのでしょうか。

矢野氏 : 幅広く技術を探す中で、当社が求めている技術が、たまたま海外にあったということです。昨年の4月頃から市場調査や、様々な商品の技術検証を行う中で、NanoLock社の技術が最も我々のニーズにマッチしていること、そしてセキュリティのレベルが高いという結論に至りました。


▲IoTデバイスのフラッシュメモリー保護技術の分野で複数の特許技術を有するNanoLock社。

――海外スタートアップと提携することの大変さをどう感じましたか。

矢野氏 : イスラエルということで言語や時差の壁があり、両社がコミュニケーションを取りながら技術的な裏付けを取ることが大変でした。イスラエルは確かにセキュリティ大国ではありますが、NanoLock社の技術は本当に当社が求めているものなのか、日本の市場でも価値を出せるものなのか、という懸念があったのです。そこで、実機を取り寄せてみたり、第三者にセキュリティ検査していただいたりするなどして、技術的な信頼を確信できるようになりました。

――セキュリティ大国イスラエルの企業と組むことに対して、社内の反応はいかがでしたか。

矢野氏 : 当社には、チャレンジするカルチャーがあります。役員からも「やってみなさい」と背中を押してもらえました。

橘氏 : 新しいソリューションをつくるのに、100%成功するところからスタートすべきではないと考えています。私は社員にいつも、「高速で失敗を繰り返せ」と伝えています。リーンスタートアップのようなものですよね。

失敗しながら成功を学んでいくことはイノベーションには不可欠の要素です。社内にも、そうした危機感や使命感があります。ですから、イスラエルというのも、特段驚くことではありませんでした。

求めている共創パートナーは、IoTデバイスメーカーや、セキュリティベンダー

――今後、どういった分野にIoTセキュリティのソリューションを提供していくのか教えてください。

矢野氏 : セキュリティソリューションは、あらゆる領域で求められると思いますが、特に当社が考えているのは、高度なセキュリティを求められるビジネス領域です。

具体的には、カメラや複合機・通信機器など個人や法人の機密情報に関わる領域、ATMやレジなど個人や法人の金銭に関わる情報を扱う領域、そして、公共交通機関や自動車・医療機器など安全・生命に関わる領域です。こうした領域に関わるIoTデバイスやセンサーに、当社のセキュリティソリューションが有効だと考えています。


▲オプテージによる IoTセキュリティプラットフォームのイメージ

――その上で、具体的にどのような技術やビジネスアイデアを持つ企業との提携を考えていらっしゃいますか。

矢野氏 : 私たちのソリューションを実装していただけるIoTデバイスメーカーを想定しています。IoTデバイスメーカー各社は、色々と市場の声を聞きながら、自社の製品に様々なセキュリティ対策を行っていると思います。一方で、将来的なセキュリティ対策については、有効な対応策がなく、不安を感じていらっしゃるところも多いのではないでしょうか。そういった企業はぜひ、声を掛けていただきたいと考えています。

また、我々が提供予定のIoTセキュリティプラットフォームでは、クラウド上のマネジメントサーバからファームウェアの稼働状況やバージョン情報、また、意図しない書き込みのブロック状況といったIoTデバイスに関する様々なデータを取得することが可能となっています。ファームウェアを一元的に管理・監視、分析し、その精度を高めていきたいと考えているIoTデバイスメーカーとも提携したいですね。

――まずは、次世代のIoTセキュリティを自社デバイスに取り込みたいと考えているメーカーと組んでいきたいと。

矢野氏 : そうですね。私たちが提供しようとしているフラッシュメモリの保護技術は、優れた技術であることは間違いありません。そして、これが将来のIoTセキュリティに求められる技術になると考えています。

しかしながら、少し先の未来を見据えた話であるため、将来的な価値に必要とされる市場の声を、現段階で我々は十分聞くことができないと感じています。本当に必要としている人にソリューションが合致しているのか、そういったことも含めて、一緒に考えていけたら幸いです。

――IoTデバイスメーカー以外の共創パートナーも視野に入れているのでしょうか。

矢野氏 : セキュリティという観点では、セキュリティベンダーも、提携の可能性があります。これからIoTデバイスがさらに世の中に普及するにつれ、セキュリティベンダーもお客様から多角的な提案が求められると思います。

そこで、私たちのソリューションを提案のラインナップに加えていただくことで、IoTデバイス全体を保護するような、総合的な提案ができるのではないかと考えています。

――共創パートナーになり得る企業に対して、どのようなリソースを提供できるでしょうか。

矢野氏 : 当社は上流から下流まで、様々なサービスがあります。例えば、自社でクラウドサービスを展開しているため、クラウドの基盤、SIMを含めた回線など、必要となるインフラをリソースとして提供することができます。また、フラッシュメモリの保護技術など先進的な技術についての調査データなども出すことができます。

将来を見据えた社会課題の解決に、共に取り組みたい

――この募集に興味を持つ企業に対して、最後にメッセージをお願いします。

橘氏 : まず、私たちが新しい事業を行う目的は、IoTセキュリティ領域に関する社会課題の解決です。課題の解決をしなければ、事業自体の存在が薄くなると考えています。

そういった意志を共有できるパートナーと提携することができれば嬉しいです。その上で、IoTセキュリティに対する意志を持ち、Win-Winの関係性を創ることができるパートナーが見つかればいいと考えています。

矢野氏 : 相互の強みを活かして、未来を創っていきたいと考えています。将来を見据えながら、これからのIoTセキュリティをどうしていくのか、共に考え前進していくことができるパートナーを求めています。

取材後記

IoTにより、あらゆるモノがインターネットに接続され、情報のやり取りが瞬時にできるようになった。非常に便利な世の中である反面、常に不正アクセス等の不安がつきまとう。

しかしながら、現状、ハードウエアのセキュリティは手薄だ。オプテージはそこに着目し、イスラエルのIoTセキュリティ会社NanoLock社の技術をコアに、IoTセキュリティサービスの新たな時代を創ろうとしている。橘氏と矢野氏も話していたが、「少し先の未来だが、必ず直面する社会課題」である。本領域に課題感を持つ企業は、ぜひアプローチをして欲しい。(詳細はコチラをご覧ください)


(編集:眞田 幸剛、取材・文:佐藤瑞恵)

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