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With/Afterコロナ時代に、中小企業がOIを成功させるには?――eiicon中村がそのポイントを語る

With/Afterコロナ時代に、中小企業がOIを成功させるには?――eiicon中村がそのポイントを語る

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先行きの見えない新型コロナ禍。社会的な混乱は今なお続き、新たな日常における常識「ニュー・ノーマル」への対応が叫ばれるなか、企業活動も従来のスタイルに捉われない経営姿勢が求められている。

特に、経済的混乱の影響を受けやすい中小企業においては、より積極的な戦略が必要だ。不確実性が渦巻く、Withコロナ/Afterコロナの時代を生き抜くカギは、既存の枠を超えた「次の一手」にあるといっても過言ではない。

2020年5月27日、eiicon companyは株式会社ZUUが運営するメディア「ZUU online」とのコラボレーションし、ウェビナー「事業多角化Channel」を開始した。

「事業多角化Channel」は、新型コロナウイルスの影響で停滞する経済環境、投資環境において、中小・スタートアップ企業の事業多角化を図るオンラインビジネスマッチングを促進するためのウェビナー。これまでオープンイノベーションプラットフォームであるeiicon(現・AUBA)(※1)上で実現してきた、約22,000件のビジネスマッチングのなかから、共創事例などを4回にわたって配信。ケーキ通販サービスのCake.jp、セレモニー(葬儀等)会社のCSCサービスが登壇し、オープンイノベーション事例を披露したほか、『withコロナafterコロナのオープンイノベーションとは』といったテーマのウェビナーも実施した。

今回は、eiicon代表の中村亜由子が登壇した第一回目のウェビナー「成功事例が続々登場、中小企業が主役のオープンイノベーション」にフォーカス。「ZUU online」編集部の斎藤暢人氏の司会のもと、Withコロナ/Afterコロナの時代における、中小企業の「次の一手」としてのオープンイノベーションの可能性、そして共創を成功させるポイントなどについてeiicon・中村が語った。本記事ではその模様についてレポートしていく。

※1)2020年7月、eiiconはリブランディングを行い、「AUBA」としてサービスを提供している。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000037194.html


【登壇者】eiicon company 代表/founder 中村亜由子

2008年インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。2015年、eiicon事業を起案・推進。日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」を運営するeiicon companyの代表/founder。

初期投資が少なく実践できる、プラットフォーム型オープンイノベーション

ウェビナーは冒頭、中村によるオープンイノベーションについての解説からスタートした。

「『イノベーション』と『オープンイノベーション』は混同されがちです。しかしそれは誤りで、イノベーションを起こすための一つの方法として、オープンイノベーションが位置付けられています」と中村は語る。

オープンイノベーションは、2003年にハーバード・ビジネス・スクールの助教授であったヘンリー・W・チェスブロウによって提唱されたイノベーションの方法論。イノベーションを創発させるために、企業間のコラボレーションをはじめとした社外連携を行うことを指す。

また他方で、オープンイノベーションは日本国内において「自社内外のイノベーション要素を組み合わせ、イノベーションを起こすまでの過程を効率化するとともにイノベーションのインパクトを最大化すること」とも定義付けられている(※2)。

※2)出典:内閣府「オープン・イノベーション」を再定義する〜モジュール化時代の日本凋落の真因〜

https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/seisaku/haihu07/sanko1.pdf


そうした定義を踏まえて、中村は「つまり、オープンイノベーションは方法の一つなので、ノウハウやコツを習得することで成功の確率を高めることができます」と強調した。

では、オープンイノベーションは具体的にどのような方法で実践されるのか。中村は、主な実践方法として以下の三つを紹介した。

一つが、「コンサルティングによる企業探索」。コンサルタント、金融機関、VCなどのビジネスマッチングに知見を有する個人や法人の力を借りて、クローズドな環境で共創パートナーを探索していく。日本国内では全体の8割以上のオープンイノベーションが、この方法で実践されている。

次に、「アクセラレータプログラムによる公募」。一定の期間を定めて企業を募集し、コンテスト形式で共創パートナーを選出する方法だ。この方法は、近年ガラパゴス的な進化を遂げており、2019年の調査では、日本国内で122件のプログラムが開催されるほど急速な増加ぶりを見せている(※2)。

そして最後に「プラットフォームやHPによる公募」。WEB上に情報を掲載し、恒常的に共創パートナーを募る方法であり、AUBAはこれに分類される。

司会の斎藤氏は、「コンサルティングによる企業探索」や「アクセラレータプログラムによる公募」はオープンイノベーションの方法として一般的にも想起しやすいのではないかとしたうえで、「AUBAのように、プラットフォーム上で共創パートナーを募るメリットはなにか?」と尋ねた。

それに対して、中村は「他の手法に比べて、初期投資が少なく始められる点」と回答。プラットフォーム上にはオープンイノベーションに興味関心の高いユーザーが集まっているため、そこに参加する費用のみで、多数のパートナー候補との接点を持つことができるのは大きな利点だとした。

※2)2019年度アクセラレータープログラム122選 https://tomoruba.eiicon.net/articles/1796



「事業化」に、優秀な人材や特別なスキルは重要ではない。

その後ウェビナーは、斎藤氏や参加者からリアルタイムで投稿される質問に中村が回答する形式で進行。中小企業がオープンイノベーションを実現するためのノウハウなどについて質問が寄せられた。以下に、その質問を抜粋して紹介する。

●質問1:中小企業が共創パートナーにアプローチするうえで、気をつけるべき点はあるか?

これについて、中村は二つのポイントを挙げた。

一つ目は「自社の情報をしっかり言語化し、PRすること」。共創パートナーに適切にアプローチするためには、まず自社の会社概要や事業内容、企業理念や共創で実現したいことなどを明確に言語化して、発信することが重要なのだ。

中村はその理由を、お見合いサイトを例に出して、「お見合いで自己紹介の情報が少ないと相手方は警戒しますよね。それと同じで『何がしたい会社なのか』が明確でないと、相手方の企業も共創を持ちかけにくくなります」と説明した。

そして、二つ目のポイントが「テーマやゴールを共有できる企業にアプローチすること」だ。その重要性を、中村は自身のAUBAでの経験を交えて以下のように語った。

「AUBAでも、共創パートナーを探索するとき、最初に想起したネームバリューのある企業を検索するユーザーが多いです。しかし、その企業が抱える課題やビジョンが、必ずしも自社のやりたいこととマッチするわけではありません。むしろ、ネームバリューでは劣っていても、オープンイノベーションのテーマやゴールを共有できる企業とのほうが、共創が実現する確率は高くなります」

●質問2:中小企業がオープンイノベーションを成功させるためには、どんな人材やスキルが求められるのか? 

この質問に対して、中村は「オープンイノベーションと一口にいっても、主に二つのフェーズに分かれます」として、オープンイノベーションの過程を「事業化するまで」「事業化した後」の2段階に分類する。その段階ごとに、求められる人材やスキルは異なるのだ。

まず、「事業化するまで」については、特別に優秀な人材や、突出したスキルはそれほど重要ではないという。共創を事業化するまでの過程は、比較的定式化されていることから、既存のノウハウ通りに計画を進めていくことのほうが重要なのだ。

では、共創を事業化するまでには、具体的にどのような過程を経ればよいのか。中村は、以下の三つのステップを手順通りに実行することで事業化が実現するとした。

STEP 1:事業構想…事業化が可能なアイデアを構想し、共創パートナーとのコンセンサスを形成する。さらに、証実験におけるKPIを設定する。

STEP 2:実証実験…実証実験を行い、事業の実現可能性を証明するデータを収集する。

STEP 3:予算獲得…実証データをもとに、事業計画の承認を受け、予算を獲得する。

しかし一方で、共創が「事業化した後」には、優秀な人材や突出したスキルの力が欠かせない。新規事業を拡大させるためには、強力な事業推進が必要とされるからだ。

そこで求められるスキルについて、中村は「スタートアップ経営者に求められるスキルと同じ」だと分析する。市場に参入し、顧客を獲得、売上を伸長させる挑戦的な姿勢と、経営層に事業の進捗や成果を報告し信頼を獲得する調整弁としての役割が、新規事業の担当者には同時に求められるからだという。


▲eiicon company 代表/founder 中村亜由子

With/Afterコロナ時代の希望――オープンイノベーションに活路あり

そのほか、質問の内容は多岐にわたったが、やはり新型コロナ禍に関連するものが数多く寄せられた。

●質問3:新型コロナ禍の影響により、オープンイノベーションのかたちに変化はあるのか?

中村は「変化すると思う」と回答。新型コロナ禍の影響により、最近では面談やイベントの開催が避けられる傾向にあり、ビジネスマッチングが停滞するケースもみられるという。

しかしその一方で、中村は「プラットフォーム経由での面談の実現率は、むしろ増加傾向にあります」と意外な事実を指摘した。その理由として、WEB会議ツール等を利用したオンライン面談の一般化を挙げる。

従来、ビジネスマッチングのための商談は対面で行われるのが主流であったため、日程調整や事前準備に時間を割く必要があった。しかし、対面での面談ができないために、多くの企業がオンライン面談を積極的に実施するようになり、結果として面談の実現する確率が高まっているのだ。

事実、AUBAでは2020年4月以降、面談実現率は従来の1.5倍に増加しており、その約7割がオンライン面談で行われている。また、そのなかにはクラウド上で契約を交わせるアプリなどを併用して、面談から契約までを全てオンライン上で行う企業も増えているのだという。

●質問4:観光や飲食業など新型コロナ禍の影響が大きい業界・業種で、オープンイノベーションは可能か?

これに対して、中村は「実際に複数の共創が進行中で、Withコロナ/Afterコロナの時代を見据えた投資が現在も続いている」と比較的明るい展望を語った。

その一例が観光業。たしかに観光客の激減により、売上げの減少に苦しむ企業は多いが、その一方で新型コロナ禍の収束後には、日本が再度「観光大国」として注目を集めるのではないかという期待が高まっているのだ。

その理由として挙げられるのが、新型コロナウイルスによる日本国内の致死率の低さだ。先進国中でも低水準の致死率は、日本における公衆衛生レベルの高さや国民の衛生意識に起因しているとも考えられている。その点が、Withコロナ/Afterコロナの時代における、新たな観光産業の強みになり得るのだ。

中村は「詳細を伝えることはできないが、観光業の企業のなかには新型コロナ禍の収束後を見据えて、対人間の接触を減らすテクノロジーや、キャッシュレスなどの分野で、オープンイノベーションに取り組む動きがみられます」と、現状を報告した。

取材後記

世界を混乱に陥れた新型コロナ禍。混乱はいまだ続いているが、すでにWithコロナ/Afterコロナの時代に向けて動き出している企業は多いようだ。また、新型コロナ禍という危機を迎えたからこそ、新たなチャンスが生まれつつあるのも確かだ。オープンイノベーションにのぞむべきタイミングは、今なのかもしれない。

(編集:眞田幸剛、取材・文:島袋龍太)

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