【ヘルステックベンチャー「Ubie」】 医薬品卸のスズケンから約20億円の資金調達、「AI問診Ubie」「AI受診相談ユビー」の拡販へ
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げるUbie(ユビー)株式会社は、総額約20億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は医薬品卸を主要事業とする株式会社スズケン。今後、スズケンが有する47都道府県約240支店の営業メンバーと緊密に連携し、サービスのさらなる普及・拡大を推進するという。
資金調達の背景
日本の医療現場では、かねてより医療者の過重労働が問題となっており、「医師等の働き方改革」による生産性向上が喫緊の課題だった。この状況は、2019年末に端を発する新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大により、深刻さを増しているという。同社は、医療現場の課題を解決するため、事務作業を効率化する「AI問診Ubie」を開発・提供してきた。加えて、新たに患者自身が適切な医療を探すことのできる「AI受診相談ユビー」を、今年4月にローンチした。この2つのプロダクトの拡販を加速するため、今回、スズケンより大型の資金調達を実施したという。
プロダクトの特徴
主力プロダクトの1つである「AI問診Ubie」は、医療機関でよく使用されている紙の問診票をタブレットに代替したものだ。医療機関を訪れた患者は、タブレットを使って症状を入力することで、診察前の待ち時間を活用し、事前に詳しい症状の内容を伝えることができる。医師は文章に翻訳された問診内容と病名辞書の結果を活用することで、電子カルテに記載を行う事務作業が大幅に削減され、診察に集中できるようになる。今回、COVID-19の感染流行を受けて、「AI問診Ubie」にCOVID-19トリアージ機能(重症度に応じて優先順位を決める機能)も新たに追加したという。
もう一方の主力プロダクトである「AI受診相談ユビー」は、症状から適切な医療への案内をサポートするサービスだ。自宅などで症状を入力すれば、適切な受診先・タイミングを知ることができる。かかりつけ医など地域の医療機関や、#7119などの救急車対応、厚生労働省といった公的な電話相談窓口など、それぞれの症状に応じて適切な受診行動を促す。
共同代表のコメント
●阿部 吉倫氏(医師)
コロナ禍において、生活者のみなさまの不安が増大し、世界に誇る医療体制も崩壊の危機に直面しています。そうした背景から「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」という弊社のミッションはより意義が大きくなるであろうと重責を実感しております。2013年から育んできた自動問診技術で、医療の世界における検索エンジンを作り、医療を全ての生活者さまにとってアクセスしやすいものにする。この弊社ミッションにご共感いただけるあらゆるステークホルダーのみなさまと共に、一日も早く実現してまいる所存です。
●久保 恒太氏(エンジニア)
日常のあらゆる場面をテクノロジーが支える、そんな時代になりました。このコロナ禍においても、かつては想像もできなかったテクノロジーによって感染拡大のリスクが抑えられています。現在も予断を許さない状況ではありますが、ここまでの経過は日本の医療供給体制の強さを世界に証明し続けています。次は、テクノロジーの番です。Ubie が立ち向かう医療リソースの不足という課題はグローバルでも大きく、まさに日本の医療とテクノロジーをもって解決できるものだと考えています。世界に誇る医療体制をさらに進化させるべく、医療とテクノロジーの新たな融合を、日本から世界へ届けていきます。
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