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【TECHWAVE×eiicon】研究知財を企業の成長につなげる「TLO(知的所有権移管機構)」とは?

【TECHWAVE×eiicon】研究知財を企業の成長につなげる「TLO(知的所有権移管機構)」とは?

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イノベーターやテクノロジーにフォーカスしたニュースメディア「TECHWAVE」とeiiconによるコラボレーション企画がスタート。国内外のオープンイノベーションにまつわるトピックを紹介していきます。


エクスポネンシャル的成長フェーズに入つつある現代において、破壊的イノベーションを起こすのは紛れもなく“技術”である。

鍵となるのが「TLO=Technology Licensing Organization」、知的財産を移管する機構である。研究機関の知財をベンチャー企業として組織化したり、企業に移管して成長事業へとつなげていく一連の取り組みを行う組織だ。

「TechWave x eiicon」企画で今後「技術シーズ」を紹介する記事シリーズをスタートするが、その前に切っても切り離せないTLOについて簡単に説明しておきたい。

写真)国立大学法人東北大学 青葉山キャンパス。「研究第一」「門戸解放」の理念を掲げる同大学は、TLOのみならず投資ファンドなどオープンイノベーションにつながるさまざまな仕組みを大胆に取り入れている。

TLOが技術を知財に進化させる

かつて研究機関が生み出す技術は「重過ぎて使えない」と揶揄される時代があった。

「技術が一番」とはいえ、膨大な時間と研究費をかけて生み出した優れた知財が効果的に使われない、もしくは知財を効果的に活用するルールが整備されていないなどの問題があったのである。

しかし、今は違う。研究段階からその技術の可能性と企業の課題を突き合わせて、事業化の可能性を模索し、必要であれば研究補助を獲得し投資家をも呼び込む人々がいる。それが「TLO」の立ち位置である。

多くのTLOはそれぞれの地域の研究機関を束ねて活動する。さまざまな活動パターンがあるが、研究者の取り組みを早期に察知し特許出願を支援したり、知財の移管により企業や産業、ひいては経済の発展を推奨するのが基本だ。

ある地域のTLOでは「成功率は40%」。知財を企業に移管するだけでなく、技術活用法を指導し、国の研究補助金の獲得も支援する。早期に企業との共同研究を組み込み、研究費獲得や、知財の共同出願なども仕掛けるTLOもある。

国が承認する「TLO」は全国で35組織(2017年9月1日時点)。今や技術系でTLOが関わっていない研究機関はないほど重要なポジションとなっている。

TLO誕生の布石

大学などの知財の活用は、1973年に江崎玲於奈氏ノーベル賞を受賞したことで大きな流れが変わった。大学への資金投入が始まり、1998年の大学等技術移転促進法(TLO法)の可決。

経産省・中小企業庁のサポートインダストリー(サポイン)の取り組み「戦略的基盤技術高度化支援事業」が2007年に始まり、2009年には補正予算による「中小企業ものづくり補助金事業」が開始される流れの中で、研究活動に対する支援が、企業成長に寄与するという文脈の中で形作られていくこととなった。

TLOはこうした研究知財の企画プロデューサーという立ち位置となり、最終的に企業に知財を移転するという前提で、企画提案から研究補助金獲得支援までさまざまな取り組みのキーマンとして活動している。

数千万単位の研究費を獲得し、数千万単位の売り上げを出す。世界に通用する技術でイノベーションを起こせば数百億点単位の売り上げもあるのである。

今回、ざっとTLOについて説明したが、これはまだまだ氷山の一角、その一面を表しているに過ぎない。TLOは、それぞれのエリアにおける、それぞれの技術とアイディアを元に多様な活動をしている。そこにはどんな研究が走っており、どんな技術が生まれ、どう企業価値の拡大に寄与しているか。今後の取材活動で随時明らかにしていきたい。

※「技術シーズ」シリーズは明日以降、順次掲載します。

■増田(maskin)真樹 / Editor In Chief at TechWave.jp

1990年代初頭から記者としてまた起業家として30年以上にわたりIT業界のハードウェアからソフトウェアの事業創出に関わる。シリコンバレーやEU等でのスタートアップを経験。日本ではネットエイジに所属、大手企業の新規事業創出に協力。ブログやSNS、LINEなどの誕生から普及成長までを最前線で見てきた生き字引として注目される。通信キャリアのニュースポータルの創業デスクとして数億PV事業に。世界最大IT系メディア(スペイン)の元日本編集長を経て現在に至る。

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