【東大発のLily MedTech】 アルフレッサから資金調達、女性に優しい乳がん検査装置の開発・販売体制強化へ
東京大学発のヘルステックベンチャーである株式会社Lily MedTechは、昨年9月に実施したシリーズBの資金調達に続いて2020年4月にアルフレッサ株式会社の追加出資により、資金調達を実施したことを発表した。これにより、両社の協力体制をより強固なものとし、Lily MedTechが開発中の「乳房用超音波画像診断装置」の将来的な販売拡大に向けた体制の整備をアルフレッサ株式会社の協力のもと行うという。
資金調達の背景
アルフレッサは、顧客が必要とする医薬品等を必要な時に、必要な量を、必要な場所へ「安心・安全・高品質」に届ける社会的使命を持つ企業だ。日本全国をカバーする流通プラットフォームをもつアルフレッサグループの中で、北海道、東名阪、甲信越、九州に約180の営業拠点を展開し、総勢2000名の医薬、メディカルの営業担当者、ME担当者が医療機関に営業活動を行っている。
医薬品、検査試薬、医療機器等の国内外のメーカーをほぼすべて取り扱う「フルラインの品揃え」とそれを支える「万全の品質管理と安心・安全の納品体制」に加え、質の高い「情報提供力」により顧客の多様なニーズに柔軟に即応できる点が強みだ。
一方、Lily MedTechは女性に優しい乳がん診断を目指す女性起業家による東京大学発のベンチャー企業だ。東京大学医学系研究科・工学系研究科での研究技術をもとに、リング型の超音波振動子を用いた革新的な乳房用画像診断装置「リングエコー」の開発を進めている。2019年12月9日には「第一種医療機器製造販売業」の許可を取得し、現在は量産体制の構築と、発売に向けた社内体制の構築に注力している段階だ。
現在の乳がん検診にはX線マンモグラフィやハンドヘルド型の超音波が用いられているが、マンモグラフィは圧迫による乳房の痛み、X線照射による被ばくリスク、デンスブレスト(高濃度乳房)に対する検出精度低下等の課題があり、ハンドヘルド型の超音波はがん発見が検査技師の技術に依存するという課題を抱えている。これに対し、Lily MedTechのリングエコーは、被ばくリスクや圧迫による痛みがなく、操作者の技術に依存しない装置として期待されている。
同社は、仕事、恋愛、結婚、出産、育児など、公私ともに選択肢が多い世代の女性が、乳がんによりその選択肢を奪われないよう、また乳がん罹患前と生活が大きく変わることのないよう、少しでも貢献したいとの想いで日々開発を進めている。本事業を推進することで、「乳がんと闘う」という言葉のない世界の実現を目指していくという。
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