三菱電機×SE4 | 岩手県滝沢市で、遠隔操作による除雪作業の実証実験を実施
三菱電機株式会社とロボット遠隔操作技術を開発する株式会社エスイーフォー(SE4)は、岩手県滝沢市にて、実機を用いた遠隔操作技術の実証実験を実施したと発表した。
実証実験の内容
本実証実験では、SE4が現在開発を進めているロボット遠隔操作技術を搭載したショベルカーを用いて、遠隔操作による除雪作業を試行した。三菱電機でオープンイノベーションを推進する「未来イノベーションセンター」と、岩手県滝沢市のコミュニティスぺース「ビッグルーフ滝沢」の協力のもと実現したという。
今回実証実験に用いた技術の特徴は、ソフトウェアを介してユーザーが作業を行いたいポイントを指定し、ロボットが自律的に作業を行うことだ。
▲VR上にて作業領域を指定している様子。青のボールは除雪したい箇所、赤のボールはすくい上げた雪を置きたい箇所を示す。
従来の遠隔操作技術では、ユーザーの動きを模倣するタイプの技術の場合、細かく複雑な作業には適しているものの、常時ロボットの動向を見守る必要があるため、ユーザー自身に高い技術力と集中力が求められた。また、所定の作業をあらかじめプログラミングし実行させるタイプの技術では、一定の作業を繰り返し行うことには長けていても、イレギュラーな事態が発生すると、その都度プログラミングをし直す必要があるため、タイムリーな対応が困難だった。
SE4の技術では、VR空間に生成された現場の様子から、ユーザーが作業領域を指定するなどの必要な情報を直感的な操作で判断・指示し、ロボットが自律的にタスクを実行する。また、現場や土壌の状態といった複合的な要素から作業方針を決めるなど、総合的な判断が必要な場合は、ユーザーがマニュアルモードにて作業を実行できる。もしくは、改善策をロボットへティーチングし、作業を継続させることも可能だ。特に、不確定要素の多い掘削作業においては、このような柔軟性が不可欠だ。
▲ショベルカーがユーザーの指示通りに作業を実施する様子。
この技術を用いることで、建機をはじめとするロボットを利用した様々な作業を、遠隔地から効率的に行うことが可能だ。除雪作業においては、「作業時間の削減」や一人では作業が困難な高齢者宅での負担減など「人的負担の削減」が見込まれる。滝沢市によると、個人宅や個人商店の駐車場スペースなど除雪車を使用することができない場所では、人の手による作業が行われており、かかる負担も非常に大きい。このような特に手作業が必要な現場においては、技術導入の高い需要が見込まれる。
▲左 従来の除雪作業、 右 VRでショベルカーに除雪の指示をする様子。
今後の展望として、本プロジェクトより得られたデータをもとに、掘削や整地など主に建機を使用した作業に必要な技術精度の向上にむけ、研究開発を促進していく。また、将来的には、地球上のみならず宇宙でのインフラ構築に向けて、技術革新を進めていくという。
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(eiicon編集部)