アイネット、東工大発の宇宙スタートアップ「天の技」と人工衛星関連事業の業務提携契約を締結
株式会社アイネットと国立大学法人東京工業大学発スタートアップ株式会社天の技(あまのぎ)は、この度、人工衛星関連事業の展開に関し業務提携契約を締結した。
1.東工大研究テーマの【革新的衛星技術実証1号機】での実証
2019年1月18日、国立研究開発法人宇宙航空開発研究機構(JAXA)の【革新的衛星技術実証1号機】が、イプシロン4号機により打ち上げられた。宇宙での実証機会を提供する同プログラムには、公募により選定された東工大の研究テーマ【深層学習を応用した革新的地球センサ・スタートラッカーの開発(DLAS)】が搭載されている。
<実証テーマ>
①深層学習の手法を画像認識に活用し、衛星が撮影した画像から陸地パターンを識別する技術の活用実証
②民生品を用いた低コストのスタートラッカー(撮影した星の配置から衛星の姿勢を計算するデバイス、すべての衛星に必要不可欠かつ最も重要な部品の一つ)の動作実証
<関連URL> https://www.titech.ac.jp/news/2018/043225.html
2.天の技による事業化
実証終了後、天の技は東工大のノウハウを活用した【東工大発ベンチャー】として、以下の事業化を目指している。
①衛星用コンポーネントビジネス(スタートラッカー「Amanogi Star Compass」販売)
今後、小型衛星の打上げが急増することは確実視されているが、国内にはスタートラッカーのベンダーが存在せず、海外製は10百万円程度と高価でサポートもない状況。
一方、天の技のスタートラッカー「Amanogi Star Compass」は従来の半分以下の価格・開発期間を実現し、国際的にも競争力を有している。2020年から市場に投入、国内のみならず海外事業者への販売も検討する。
▲Amanogi Star Compass
②AI衛星データビジネス
衛星データは即時性と通信・運用コストに課題があるが、Edge Computing(AIやデータ解析を小型計算機や論理合成を応用して小規模かつ低消費電力で実現すること)の衛星への応用により、必要なデータのみを地上に送信することで『欲しい宇宙データを迅速に低コストで入手』を実現する。
事業化計画は以下の通り。
●2020年 AI衛星開発プロジェクトスタート
●2023年 AI衛星の打上げの技術的実証
●2024年 AI衛星の実証結果を基に衛星ビジネススタート
3.業務提携契約の概要
1977年の気象衛星ひまわり初号機の打上げからスタートし、宇宙開発事業には40年以上の経験を有するアイネットは、同時に独立系トップクラスのデータセンター事業者でもあることから、今回の業務提携内容は以下の通り、宇宙開発、データセンター両分野にわたる。
<業務提携契約の骨子>
①衛星用コンポーネントの共同開発
②人工衛星の共同開発
③データセンターを利用した恒星センササービスの共同開発衛星データのAI解析サービスの共同開発
④衛星データのAI解析サービスの共同開発
アイネット、天の技、東工大の三者の知見、研究成果を融合させることで早期の事業化を推進していくという。
天の技 について
2017年、宇宙スタートアップ企業での開発経験を持つ東工大OBの工藤裕氏が衛星部品開発、衛星用AIシステムの開発のため創業。特に、小型衛星を専門とする東工大研究室の研究成果を事業化することを目的としており、【東工大発ベンチャー】の称号を持つ。先進的な取組が認められ文科省の新宇宙産業創出事業に採択されるとともに、NEDOによる【宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業】にも採択され、更に2018年12月に発表された【革新的衛星技術実証2号機】の実証テーマに選定されている。
アイネットについて
アイネットは自社データセンターをベースに各種情報処理を行うとともに、システムの企画・開発から運用・監視までカバーする独立系ITサービスプロバイダー。
煩雑なガソリンスタンドの事務処理の合理化やクレジット処理を代行する会社として1971 年に設立された。以来その取り扱いを拡大する中でデータセンター運用のノウハウを蓄積、利用者からも大きな信頼を寄せられてきた。データセンターを利用する業種も金融業、流通業、官公庁、e ビジネス、外資系企業をはじめ多岐にわたっている。
現在は、国内最高レベルのデータセンターをベースに、クラウドサービスビジネスを積極的に展開しており、自社のクラウド基盤上に業種業態を問わず利用可能なアプリケーションレイヤーのメニュー拡充を加速させている。一方システム開発事業ではAI、IoTなど先端の分野に注力するとともに、今後大きな市場拡大が見込まれている宇宙利用産業への取組みを本格化している。
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(eiicon編集部)